第3回:Function Calling(関数呼び出し)の極意:AIに「手」を与える技術

こんばんは、斎藤です。

第1回で「概念」を、第2回で「脳(思考回路)」を学びました。

しかし、どれだけ賢いAIでも、自身の学習データにない最新情報やプライベートなデータには手が届きません。

そこで登場するのが「Function Calling(ファンクション・コーリング)」です。

今回は、AIに外部ツールを操る「手」を授け、実務を完遂させるための核心技術を解説します。

それでは見ていきましょう!

🥇 導入:「知っている」から「できる」AIへ

これまでのAIエージェントは、非常に賢い「思考」を持っていました。

しかし、AI自身の学習データの中に答えがなければ、「分かりません」と言うか、あるいはハルシネーション(嘘)をつくしかありませんでした。

そこで必要になるのが、「Function Calling」です。

これは、AIが「今の自分にはこの知識が足りない」と判断した際、自ら外部ツールを呼び出して作業を代行する技術。

いわば、AIに自由自在に動く「手」を授けるようなものです。


🥈 本編

1. Function Callingとは何か?(AIとツールの橋渡し)

Function Callingは、AIに対して「あなたは以下の道具(関数)を使ってもいいですよ」とあらかじめ定義しておく仕組みです。

  • 従来のAI:知識だけで答えようとする(「最新のiPhoneの価格は…」→古い情報を出す)
  • Function Calling対応AI:道具を使いに行く(「検索ツールを使って、現在の最新価格を調べてきます」→正確な情報を出す)

AI自身がプログラムを実行するわけではなく、AIは「どの道具を、どんな設定で使えばいいか」という指示書(JSON形式)を出力します。

これによって、AIが現実世界の情報にアクセスしたり、ファイルを操作したりすることが可能になります。

2. ブログ運営を劇的に変える「ツール」の例

エージェントに持たせる「手」には、以下のような実用的な例があります。

  • Google検索ツール:常に最新のニュースや競合情報を取得する。
  • SEO分析ツール:指定したURLの文字数やキーワード出現率を計測する。
  • 画像生成ツール:記事の内容に合わせてアイキャッチを自動作成する。
  • WordPress投稿ツール:執筆後、そのまま下書き保存まで行う。

これらを組み合わせることで、人間が介在しなくても「リサーチから投稿準備まで」を自動で完結させるエージェントが誕生します。

3. 【実践】AIが迷わない「ツールの説明書」の書き方

Function Callingを成功させる最大のコツは、AIに渡す「ツールの説明文(Description)」の精度にあります。

AIは関数の名前と説明文だけを頼りに、どのツールを使うべきか判断するからです。

良い説明文の例:
google_search_api:最新の情報をWebから取得します。現在の事実確認や、AIの知識にない最新ニュース、固有名詞について調べる際に必ず使用してください。

AIを「優秀な職人」にするためには、プロンプトによって「どの道具を、いつ、なぜ使うのか」を明確に定義してあげることが不可欠です。


🥉 まとめと次への展望

✨ エージェントが「実務」を担う瞬間

思考(ReAct)に実行力(Function Calling)が備わったとき、AIはもはや単なるチャットボットではなく、実務をこなす「自律型エージェント」へと進化します。

あなたが寝ている間に、AIが勝手に調査を行い、データを集め、記事の形に整える。

そんな未来が、この技術の先にあります。

⏩ 次回予告:第4回

AIに持たせる道具は、市販のものだけではありません。次回はさらに踏み込みます。

「第4回:ツール・エンジニアリング:AIが使いやすい『独自ツール』の作り方」

自分のブログ運営に特化した、自分だけの「秘伝の道具」をAIに持たせる方法を解説します。

エージェントのカスタマイズ性を一気に引き上げていきましょう!