ここまで、
「他人と比べなくていい。」
という話をしてきました。
誰かが成功していても、それは自分の失敗ではない。
SNSで誰かが輝いて見えても、その人の人生を自分の基準にしなくていい。
人には、それぞれの環境があり、それぞれのタイミングがあります。
だからこそ、他人ではなく、自分の人生を見る。
それが「比べない技術」の一つです。
でも、ここで一つ考えてみたいことがあります。
他人との比較をやめても、今度は「昨日の自分」と比べてしまうことがあるということです。
「昨日より成長しなければ。」
「昨日より頑張らなければ。」
「昨日より結果を出さなければ。」
そんなふうに、毎日の自分を評価していませんか。
成長することは、もちろん素晴らしいことです。
できなかったことができるようになる。
知らなかったことを知る。
少しずつ仕事が上手くなる。
昨日より一歩前に進む。
そうした変化には、大きな意味があります。
ただ、成長を大切にするあまり、「毎日成長しなければならない」という新しい比較を、自分自身に課してしまうことがあります。
今回考えたいのは、そこです。
第1章 昨日の自分を、毎日の採点表にしない
「昨日より成長しよう。」
この言葉は、一見すると前向きです。
昨日できなかったことを、今日できるようにする。
昨日より少し勉強する。
昨日より少し仕事を進める。
昨日より少し運動する。
そうやって自分を高めていく。
確かに、これは一つの良い考え方です。
でも、これが強くなりすぎると、
「昨日よりできなかった今日はダメ。」
という考え方に変わってしまいます。
昨日はブログを書けた。
今日は書けなかった。
昨日は勉強できた。
今日はできなかった。
昨日は仕事が順調だった。
今日は思うように進まなかった。
すると、
「今日は昨日の自分に負けた。」
と感じてしまう。
でも、本当にそうでしょうか。
人間は、毎日同じ状態ではありません。
よく眠れた日もあれば、疲れが残っている日もあります。
仕事が少ない日もあれば、急な仕事が重なる日もある。
気持ちが前向きな日もあれば、何となく気分が落ちている日もある。
家族や人間関係のことで、いつも以上に心を使う日もあります。
そんな違いを全部無視して、
「昨日よりできたか。」
だけで今日の自分を評価するのは、少し厳しすぎるのではないでしょうか。
例えば、昨日は10の力を出せたとしても、今日は5しか出せない日がある。
だからといって、今日の自分が昨日より価値のない人間になったわけではありません。
ただ、今日は5しか出せない日だった。
それだけです。
ここを分けて考えることは、とても大切です。
「できた量」と「自分の価値」は、同じものではありません。
仕事が進まなかったからといって、自分の価値が下がるわけではない。
勉強できなかったからといって、成長する資格がなくなるわけでもない。
何も生み出せなかった日があったからといって、それまで積み重ねてきたものが消えるわけでもありません。
それなのに私たちは、つい一日の結果だけを見て、自分全体を評価してしまいます。
「今日は何もできなかった。」
「最近、成長していない。」
「もっと頑張らないと。」
そうやって、自分で自分を追い込んでしまう。
そして怖いのは、これが「努力している感覚」と結びついていることです。
毎日成長しようとする。
毎日勉強する。
毎日記録する。
毎日成果を確認する。
最初は自分を良くするために始めたことなのに、いつの間にか、
「昨日より進んでいるか。」
を確認すること自体が目的になってしまう。
すると、休むことにまで罪悪感を持つようになります。
「今日は休んでしまった。」
「何もしていない。」
「時間を無駄にした。」
でも、休むことは、本当に無駄なのでしょうか。
例えば、スマートフォンも充電が必要です。
ずっと使い続ければ、いずれ動かなくなる。
人間も同じです。
ずっと頑張り続けていれば、集中力も体力も気力も少しずつ消耗していきます。
だから、休むことは「何もしない」のではありません。
次に動くための時間をつくることでもあります。
もちろん、毎日何もせずに過ごせばいいという話ではありません。
やりたいことがあるなら、努力していい。
成長したいなら、学んでいい。
昨日より一歩進みたいなら、進めばいい。
ただし、それを「毎日必ずやらなければならない」というルールにしなくてもいいのです。
昨日は10歩進んだ。
今日は1歩だけ。
それでもいい。
今日は進めなかった。
それでもいい。
むしろ、そういう日があるからこそ、長く続けることができます。
人生は、毎日右肩上がりになるものではありません。
進む日もあれば、止まる日もある。
休む日もあれば、少し戻る日もある。
何も変わっていないように感じる日もあります。
それでも、その時間は人生から消えるわけではありません。
だから、
「昨日より成長できたか。」
だけを毎日の採点表にしなくていい。
今日は今日の自分として生きる。
その中で、できることがあればやる。
できないなら、休む。
そして、また動ける日に動けばいい。
SINGLESELFが大切にしている「引き算」は、ここにもあります。
「もっと成長しなければ」というプレッシャーを、一つ減らしてみる。
「休んではいけない」という思い込みを、一つ減らしてみる。
「昨日よりできなければ意味がない」という自己評価を、一つ減らしてみる。
そうすると、成長することそのものが、少し楽になります。
成長は、自分を追い立てるためのものではありません。
自分の人生を、少しずつ良くしていくためのものです。
だから、昨日の自分を超えられない日があってもいい。
昨日の自分に勝てない日があってもいい。
今日はただ、今日の自分を生きればいいのです。
第2章 何も変わらない時間も、無駄ではない
「成長しなければ。」
そう考えていると、目に見える変化を求めるようになります。
昨日より知識が増えた。
仕事ができるようになった。
収入が増えた。
できることが増えた。
何か結果が出た。
そういうものがあれば、
「自分は前に進んでいる。」
と感じられます。
反対に、何も変わっていないように見えると、
「最近、成長していないな。」
「時間を無駄にしているかもしれない。」
と不安になる。
でも、人間の変化は、いつも目に見える形で現れるわけではありません。
植物も、毎日目に見えて伸びているわけではありません。
外から見ると何も変わっていないように見えても、土の中では根を伸ばしていることがあります。
人間も、それに少し似ています。
考える。
悩む。
休む。
試してみる。
失敗する。
立ち止まる。
そうした時間の中で、すぐには結果にならない変化が起きていることがあります。
例えば、新しい仕事を始めたとします。
最初の数か月は、思うように成果が出ない。
知識も増えている気がしない。
周りの人のほうがどんどん先に進んでいるように見える。
すると、
「自分には向いていないのかもしれない。」
と思ってしまう。
でも、その間に少しずつ仕事の流れを覚えているかもしれません。
以前なら気づかなかったことに気づけるようになっているかもしれない。
失敗したときに、前ほど落ち込まなくなっているかもしれない。
そうした変化は、数字には表れにくいものです。
だからこそ、
「結果が出ていない=何も成長していない」
とは限りません。
むしろ、結果が出る前には、そういう見えない時間が必要なこともあります。
これは、ブログでも同じです。
記事を書いても、最初は誰にも読まれない。
SNSで発信しても、反応がない。
何かを作っても、すぐには成果につながらない。
そんな時期が続くと、
「自分は何をやっているんだろう。」
と思うかもしれません。
でも、文章を書くことで、少しずつ自分の考えが整理されていく。
発信することで、何を伝えたいのかが分かってくる。
試行錯誤することで、自分に合わないやり方が分かってくる。
これも、前に進んでいる時間です。
成果が出ていない時間と、何もしていない時間は同じではありません。
もちろん、本当に何もしたくない日もあります。
その場合は、何か意味を見つけようとしなくてもいい。
ただ休めばいいのです。
休んだ時間まで、
「この休みにはどんな成長の意味があるんだろう。」
と考え始めると、休むことさえ仕事になってしまいます。
読書をしなければ。
運動しなければ。
勉強しなければ。
有意義に過ごさなければ。
そうやって、休息にまで成果を求めてしまう。
でも、本当の休みは、
何かを生み出さなくてもいい時間です。
何もしない。
ぼんやりする。
好きなものを食べる。
散歩する。
早く寝る。
ただ静かに過ごす。
それだけでもいい。
人生のすべての時間を、
「成長につながる時間」
に変換する必要はありません。
効率よく生きようとしすぎると、
何の役にも立たないように見える時間を、
どんどん削ってしまいます。
でも、人間にはそういう余白も必要です。
何もしていないときに、
ふと新しいアイデアが浮かぶこともある。
休んだあとに、
「またやってみよう。」
と思えることもある。
一度離れたことで、
本当にやりたかったことに気づくこともある。
だから、
「何もしていない時間=無駄」
と決めつけなくていいのです。
ここで、一つ考え方を変えてみてください。
「今日は何を達成したか。」
ではなく、
「今日は、自分をこれ以上すり減らさずに過ごせたか。」
と考えてみる。
仕事を頑張った日なら、
それでいい。
勉強できた日なら、
それでいい。
何もできなかった日なら、
それでもいい。
ちゃんと休めたなら、
それも一つの過ごし方です。
成長というと、
何かを積み上げることばかりを想像してしまいます。
でも、
無理を減らす。
焦りを減らす。
自分への期待を少し下げる。
必要のないことをやめる。
そうやって自分を整えることも、
長い目で見れば大切な変化です。
SINGLESELFの「引き算」は、
ここでも役に立ちます。
成長するために、
新しいことを一つ増やすのではなく、
「成長しなければ」という焦りを一つ減らす。
「結果を出さなければ」というプレッシャーを一つ減らす。
「有意義に過ごさなければ」という思い込みを一つ減らす。
すると、
今まで見えていなかった時間が、
少し違って見えてきます。
何も変わっていないように見える日も、
人生の一部です。
止まっているように感じる時期も、
自分の人生から切り離す必要はありません。
前に進んでいる日だけを、
「意味のある一日」
にしなくていい。
何も成し遂げなかった一日にも、
ちゃんと自分の人生がある。
そう考えられるようになると、
毎日を成長のために使い切ろうとしなくなります。
そして不思議なことに、
そうやって力を抜いたときのほうが、
また自然に動き出せることがあります。
だから、
何も変わらない日を、
焦って埋めなくてもいい。
今は止まっているだけかもしれない。
今は整えているだけかもしれない。
今は休んでいるだけかもしれない。
それでいいのです。
人生には、
前に進む時間だけではなく、
立ち止まる時間もあります。
その両方があって、
自分の人生になっていくのです。
第3章 成長は、増やすことだけではない
「成長する。」
そう聞くと、
何かを増やすことを想像する人が多いかもしれません。
新しい知識を身につける。
できる仕事を増やす。
資格を取る。
収入を増やす。
経験を増やす。
人脈を増やす。
昨日できなかったことを、今日できるようにする。
確かに、そうした変化は成長です。
できることが増えれば、自分の可能性も広がっていきます。
だから、
「もっと勉強しよう。」
「もっと経験しよう。」
「もっと努力しよう。」
と考えること自体は、悪いことではありません。
ただ、
成長を「増やすこと」だけで考えてしまうと、
いつまで経っても、
「まだ足りない。」
という感覚から抜けられなくなることがあります。
一つできるようになったら、
次は二つ。
二つできるようになったら、
今度は三つ。
知識が増えたら、
さらに新しい知識を探す。
仕事ができるようになったら、
もっと仕事を引き受ける。
収入が増えたら、
さらに上を目指す。
そうやって、
成長するほど、
「もっとやらなければ。」
が増えていく。
これでは、
いつまで経っても、
自分に「十分」と言える日が来ません。
そこで、
少し違う方向から、
成長について考えてみます。
成長とは、何かを増やすことだけではない。
そう考えてみるのです。
例えば、
以前は人の評価を気にしていた。
でも、
少しずつ気にしなくなった。
以前は何でも引き受けていた。
でも、
「これはやらない。」
と言えるようになった。
以前は嫌なことがあっても我慢していた。
でも、
必要なら距離を置けるようになった。
以前は失敗すると、
自分を責め続けていた。
でも、
「今回はうまくいかなかった。」
と切り替えられるようになった。
こうした変化は、
何かを増やしているわけではありません。
むしろ、
余計なものを減らしています。
でも、
それも立派な成長です。
むしろ、
人生が少し軽くなっているという意味では、
とても大きな変化かもしれません。
若いころは、
「何でもできる人になりたい。」
と思うことがあります。
仕事もできて、
知識もあって、
人付き合いも上手で、
体力もあって、
収入も高くて、
趣味も充実している。
そんな理想を思い描く。
だから、
足りないものを一つずつ増やそうとする。
でも、
人生を長く生きていくと、
少しずつ分かってくることがあります。
「できることを増やす」より、「やらなくていいことを知る」ほうが大切な場面がある。
ということです。
何でもできる必要はない。
誰とでも仲良くする必要もない。
すべての情報を知る必要もない。
すべての仕事を引き受ける必要もない。
すべてのチャンスを追いかける必要もない。
毎日、自分を成長させ続ける必要もない。
そうやって、
「やらなくていいもの」
が分かってくる。
これは、
何かを諦めたということではありません。
自分に必要なものと、
必要ではないものを、
少しずつ見分けられるようになったということです。
例えば、
昔はたくさんの本を読まなければと思っていた。
でも今は、
本当に必要な一冊を、
ゆっくり読むほうがいいと分かった。
昔は毎日SNSをチェックしていた。
でも今は、
見なくても困らないことに気づいた。
昔は誘われたら断れなかった。
でも今は、
自分の予定を優先できるようになった。
昔は忙しいことが、
頑張っている証拠だと思っていた。
でも今は、
余白があることも大切だと分かった。
これらは、
外から見ると、
何かを「減らした」だけに見えるかもしれません。
でも、
本人にとっては、
大きな変化です。
自分の時間を取り戻しているからです。
自分の判断を取り戻しているからです。
そして、
自分にとって本当に必要なものへ、
力を使えるようになっているからです。
だから、
昨日より何が増えたかだけを、
成長の基準にしなくてもいい。
昨日より、
何を手放せたか。
何を気にしなくなったか。
何をやらなくなったか。
何を「もう十分」と思えるようになったか。
そういうことも、
振り返ってみてください。
もしかすると、
自分では気づいていなかった成長が、
そこにあるかもしれません。
そして、
この考え方を持つと、
「昨日の自分に勝たなければ。」
というプレッシャーも少し変わってきます。
昨日より勉強できなかった。
でも、
昨日より無理をしなかった。
昨日より仕事は進まなかった。
でも、
昨日よりしっかり休めた。
昨日より成果は出なかった。
でも、
昨日まで抱えていた不安を一つ手放せた。
それなら、
今日という一日を、
失敗だったと決めなくてもいい。
人生には、
数字で測れる成長だけではありません。
目に見えない変化もあります。
考え方が変わる。
人との距離感が変わる。
時間の使い方が変わる。
自分への接し方が変わる。
「こうしなければ」という思い込みが減る。
こうした変化は、
すぐに結果として現れるわけではありません。
でも、
少しずつ人生の形を変えていきます。
SINGLESELFが大切にしている、
「引き算」という考え方も、
ここにつながっています。
人生を良くするために、
何かを足し続けなくてもいい。
必要のないものを一つ減らす。
余計な予定を減らす。
余計な情報を減らす。
余計な比較を減らす。
余計な期待を減らす。
余計な「こうあるべき」を減らす。
そうすると、
残ったものが見えてきます。
本当に大切にしたい仕事。
大切な人との時間。
自分がやりたいこと。
ゆっくり過ごす時間。
何もしない時間。
そして、
自分自身。
成長するということは、
自分をどんどん別の人間に変えていくことではありません。
今の自分に必要のないものを少しずつ手放して、本来の自分が生きやすい状態に近づいていくことでもあります。
だから、
昨日より何かが増えていなくてもいい。
昨日より少し、
自分に合わないものが分かったなら、
それも前進です。
昨日より少し、
無理をしなくなったなら、
それも変化です。
昨日より少し、
自分を責めなくなったなら、
それも十分な成長です。
「もっと、もっと。」
と自分を追いかけるのではなく、
「これは、もういらないかもしれない。」
と考えてみる。
その一つの判断が、
自分の人生に余白をつくります。
そして、
その余白があるからこそ、
本当に大切なものに、
時間とエネルギーを使えるようになります。
成長は、
前へ進むことだけではありません。
ときには、
余計なものを手放して、
身軽になることでもあるのです。
第4章 成長を急がないために、減らしていいもの
「もっと成長しなければ。」
そう思ってしまうときは、
何かを始めることばかり考えてしまいます。
新しい本を読む。
勉強を始める。
資格を取る。
仕事を増やす。
運動を始める。
新しいことに挑戦する。
もちろん、それも一つの方法です。
でも、
もし今すでに頑張りすぎているなら、
さらに何かを足すことで、
もっと苦しくなってしまうかもしれません。
そんなときは、
「何をすれば成長できるか。」
ではなく、
「何を減らせば、少し楽になれるか。」
と考えてみてください。
例えば、
毎朝必ず勉強しなければならない。
毎日運動しなければならない。
毎日ブログを書かなければならない。
SNSを毎日更新しなければならない。
仕事では常に成果を出さなければならない。
休日も有意義に過ごさなければならない。
こうした「しなければ」を、
一つずつ見直してみる。
全部やめる必要はありません。
ただ、
「本当に毎日必要なのか。」
と考えてみるだけでもいいのです。
毎日だったものを、
週に数回にする。
一時間だったものを、
30分にする。
全部やろうとしていたものを、
一つに絞る。
結果を毎日確認していたなら、
確認する回数を減らす。
それだけでも、
自分にかかっていた力が少し抜けます。
そして、
こうした小さな引き算は、
「怠けること」とは違います。
むしろ、
自分が長く続けられる量を知ることです。
例えば、
毎日一時間の勉強を、
一か月でやめてしまう人がいる。
一方で、
一日15分の勉強を、
一年間続ける人もいる。
短期的に見ると、
前者のほうが頑張っているように見えるかもしれません。
でも、
長い時間で見れば、
後者のほうが多く積み重ねていることもあります。
だから、
「今日どれだけ頑張ったか。」
だけを見る必要はありません。
「このやり方を、無理なく続けられるか。」
という視点も大切です。
成長は、
一日で完成するものではありません。
だからこそ、
自分を壊してまで急ぐ必要はないのです。
そして、
もう一つ減らしていいものがあります。
それが、
「成長している証拠を探し続けること」です。
勉強時間を記録する。
読んだ本の数を数える。
運動した回数を確認する。
仕事の成果を毎日チェックする。
もちろん、
記録すること自体は悪くありません。
自分の変化を確認するために、
数字を使うこともできます。
ただ、
数字が目的になってしまうと、
少し苦しくなります。
「今月は先月より勉強時間が少ない。」
「去年より成果が出ていない。」
「以前より成長していない。」
そんなふうに、
数字を使って自分を責め始めるからです。
記録は、
自分を管理するための道具です。
自分を評価するための採点表ではありません。
だから、
数字が下がる日があってもいい。
記録が途切れてもいい。
一度やめてもいい。
また必要になったら、
そこから再開すればいい。
これまでの章でも、
「比べなくていい。」
という話をしてきました。
他人と比べなくていい。
そして、
昨日の自分とも、
比べすぎなくていい。
そう考えると、
自分を追い立てるための基準を、
少しずつ減らしていくことができます。
「昨日よりできたか。」
ではなく、
「今の自分に無理はないか。」
「これは本当に続けたいことか。」
「これを続けることで、何を大切にできるのか。」
そんな問いに変えてみる。
すると、
成長の意味も変わってきます。
以前は、
「もっとできるようになること」
が成長だと思っていた。
でも今は、
「自分に合わないやり方をやめること」
も成長だと分かる。
以前は、
「休んだら遅れる」
と思っていた。
でも今は、
「休んでも戻ってこられる」
と思える。
以前は、
「結果が出なければ意味がない」
と思っていた。
でも今は、
「やってみた経験にも意味がある」
と思える。
こうした変化は、
数字には表れないかもしれません。
でも、
人生を生きやすくするという意味では、
とても大きな変化です。
だから、
もし今、
「もっと頑張らなければ。」
と感じているなら、
一度立ち止まってみてください。
そして、
新しいことを始める前に、
一つだけ減らせるものがないか考えてみる。
毎日見ているSNSを減らす。
必要以上の情報収集を減らす。
無理な予定を減らす。
人からの評価を気にする時間を減らす。
自分を責める時間を減らす。
「こうあるべき」という思い込みを減らす。
すると、
不思議なくらい、
自分の時間が戻ってきます。
その時間で、
何かをしなくてもいいのです。
休んでもいい。
家族と過ごしてもいい。
好きなことをしてもいい。
何も考えずに過ごしてもいい。
そして、
またやりたくなったら、
やればいい。
大切なのは、
「成長するために生きること」
ではありません。
自分の人生を生きる中で、必要な分だけ成長していくことです。
成長が人生の目的になってしまうと、
いつまでも「まだ足りない」と感じます。
でも、
人生が先にあって、
その中に成長がある。
そう考えれば、
毎日何かを証明する必要はなくなります。
今日は頑張る。
明日は休む。
少し進む。
また止まる。
それでもいい。
自分の人生を続けていく中で、
必要な変化は、
自然に起こっていきます。
だから、
成長を急がなくていい。
昨日の自分を追い越そうとしなくていい。
「もっと、もっと。」
と自分に何かを足し続けなくていい。
ときには、
一つ減らす。
一つ手放す。
一つ休む。
そのくらいでいいのです。
そして、
余計なものを減らしたあとに残った時間を、
本当に大切なものに使っていく。
それが、
SINGLESELFの考える、
「成長」と「引き算」のつながりです。
第5章 成長できない日があっても、人生は前に進んでいる
ここまで、
「昨日より成長しなければ。」
という考え方を、
少し手放してみる話をしてきました。
昨日よりできない日があってもいい。
何も変わらない日があってもいい。
休む日があってもいい。
そして、
成長は何かを増やすことだけではありません。
余計なものを手放すことも、
自分にとっては大切な変化です。
こう考えると、
「今日は何ができたか。」
だけで一日を評価する必要が、
少しずつなくなっていきます。
もちろん、
何かに向かって努力することは大切です。
昨日より少しできるようになる。
昨日より少し知識を増やす。
昨日より少し前に進む。
そうした積み重ねが、
未来の自分をつくっていきます。
でも、
それを毎日の義務にしなくてもいい。
毎日必ず成長しなければならない、
というルールを自分に課さなくてもいいのです。
人生には、
頑張る時期があります。
何かを学ぶ時期があります。
新しいことに挑戦する時期もあります。
一方で、
立ち止まる時期もあります。
休む時期もあります。
今まで頑張ってきたものを、
一度見直す時期もあります。
そして、
何をしたらいいのか分からない時期だってあります。
そのすべてを、
「成長していない時間」
として切り捨てなくていい。
人は、
ずっと同じ方向に進み続ける必要はありません。
ときには、
立ち止まったからこそ、
自分がどこへ向かいたいのか分かることがあります。
休んだからこそ、
もう一度やってみようと思えることがあります。
何もできなかったからこそ、
本当に必要なものが見えてくることもあります。
だから、
止まっているように見える時間にも、
意味があるのです。
そして、
ここで一つ、
「比べない」というテーマに戻ってみます。
他人と比べなくていい。
誰かの成功を、
自分の失敗にしなくていい。
SNSで見える誰かの人生を、
自分の基準にしなくていい。
人それぞれのタイミングで、
生きていい。
そこまで考えてきました。
でも、
自分自身との比較まで厳しくしてしまったら、
結局また、
「もっと頑張らなければ。」
という場所に戻ってしまいます。
他人との比較をやめたのに、
今度は昨日の自分を追いかけ続ける。
昨日より成長したか。
昨日より成果が出たか。
昨日より頑張ったか。
そんなふうに、
自分で自分を追い続ける。
これでは、
いつまで経っても、
安心して生きることができません。
だから、
「比べない技術」は、
他人と比べないことだけではないのです。
自分を毎日、誰かと比較したり、過去の自分と競争させたりしないこと。
それも、
大切な「比べない」です。
昨日の自分は、
今日の自分を責めるためにいるわけではありません。
昨日の自分が頑張ったなら、
その頑張りを受け取ればいい。
昨日うまくいかなかったなら、
そこから学べばいい。
昨日何もできなかったなら、
今日はまた始めればいい。
過去の自分を、
敵にする必要はありません。
そして、
未来の自分のために、
今日の自分を犠牲にし続ける必要もありません。
「もっと成長した未来の自分」になるために、
今をずっと我慢する。
そんな生き方をしなくてもいいのです。
今の自分にも、
休む時間が必要です。
好きなことをする時間が必要です。
何も考えない時間も必要です。
大切な人と過ごす時間も必要です。
そうした時間を、
「成長していないから無駄」
と考えなくていい。
人生は、
成果を積み上げるためだけにあるわけではありません。
生きている時間そのものが、
あなたの人生です。
だから、
今日は何も成し遂げなかったとしても、
それだけで一日を失敗にしなくていい。
今日は休んだ。
今日は眠った。
今日は好きなことをした。
今日は何もしたくなかった。
それでもいい。
また明日、
何かをやりたくなったら、
そこから始めればいいのです。
そして、
その「また始められる」という感覚を、
大切にしてほしいと思います。
毎日続けることより、
続けられない日があっても、
戻ってこられること。
毎日成長することより、
成長できない自分を責めずに、
また歩き出せること。
そのほうが、
長い人生では大切なのかもしれません。
SINGLESELFが考える「引き算」は、
人生から何かを奪うためのものではありません。
余計なものを減らして、
本当に大切なものを残すためのものです。
そして、
その「余計なもの」の中には、
「もっと頑張らなければ。」
という自分へのプレッシャーも含まれます。
「昨日より成長しなければ。」
という焦りも、
ときには減らしていい。
「休んではいけない。」
という思い込みも、
減らしていい。
「結果が出なければ意味がない。」
という考え方も、
減らしていい。
そうやって少しずつ、
自分を追い立てるものを手放していく。
すると、
ようやく自分の本当の気持ちに、
目を向けられるようになります。
「自分は何をしたいのか。」
「どんな時間を大切にしたいのか。」
「どんな人生なら、自分は心地よく生きられるのか。」
他人の人生と比べなくていい。
昨日の自分とも、
競争しなくていい。
ただ、
今の自分に必要なものを、
少しずつ選んでいけばいい。
それで十分です。
成長する日もあれば、
休む日もある。
進む日もあれば、
立ち止まる日もある。
それでも、
人生は続いていきます。
だから、
毎日自分を変えようとしなくていい。
毎日何かを証明しなくていい。
今日の自分を、
今日の自分として受け入れていい。
そして、
また動きたくなったときに、
一歩進めばいいのです。
昨日より成長できない日があっても、
あなたの人生が止まったわけではありません。
休むことも、
立ち止まることも、
手放すことも、
自分の人生を大切にするための時間です。
「もっと、もっと。」
と自分を追い続けるのではなく、
ときには、
「今日はこれで十分。」
と言ってあげる。
その余白があるからこそ、
また自然に前へ進める日がやってきます。
比べなくていい。
急がなくていい。
毎日成長しなくてもいい。
あなたには、
あなたの人生があります。
その人生を、
誰かと比べる必要も、
昨日の自分と競争する必要もありません。
今日の自分にできることを、
できる分だけやる。
疲れたら休む。
迷ったら立ち止まる。
そして、
また歩きたくなったら歩き出す。
それでいいのです。
「成長しなければ」というものを一つ減らす。
そのとき、
人生に少し余白が生まれます。
そして、
その余白の中で、
本当に大切なものが見えてくる。
それが、
今回の「比べない技術」で、
伝えたかったことです。
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